第8回 『Car,Life & Money 〜車と人生とお金〜』
2008年02月21日|カテゴリー:お役立ちコラム
「住宅にいくらまで費用をかけても良いですか?」
「借入れはいくらまで大丈夫でしょうか?」
ファイナンシャル・プランナーに寄せられるご質問のうち、これほどポピュラーで、かつ、ご相談の動機となっているものはないでしょう。
これらの質問の背景には、住宅取得を、ある種の“命懸け”に近いものとして捉えている様子が見て取れます。
同時に、住宅に対して用心深くもなってきたのでしょう。その意味では歓迎すべき傾向なのかもしれませんが、消費者の意識が確実に変わってきたといえるレベルにあるかどうかは、まだ私も判断がつかないでいます。
ここで一つの風景を思い浮かべてみましょう。それは私が日常的に体験するこんな風景です。
ある日曜日の午前中、ライフプランの作成依頼に感じの良い三十代始めのご夫婦がやってきました。温かいコーヒーを飲みながら、まずはお二人の話に耳を傾けてみます。
お二人は近々、住宅取得を検討なさっているとのことですが、
会社員のご主人様の収入だけで奥様と二人のお子様の生計を支えているのが現状。
住宅ローンが心配でなかなか購入に踏み切れないでいるとのこと。
「そうでしょう、そうでしょう」と私が合いの手を入れると、ご夫婦は「どこへ行っても悩みが解消されなかった」と、ここに辿り着くまでの経緯、以前相談した建築会社さんの批判、そしてなぜか“ライフプランニングの重要性について”も語ってくれました。
「このご夫婦なら話が早いな」と、今度は私がライフプラン作成の為のヒアリングを始めます。
私が質問を始めるとご夫婦の息はまさにピッタリ。意見が大きく食い違うこともありません。
まるで事前に答えを用意してきたかの様に、将来についての厄介な質問にも嫌な顔一つせず、ハキハキと明るく答えてくれます。時には見つめ合って微笑んだりしながら・・・。
「若いのによく勉強していて素敵なご夫婦だなぁ」
単純な私はお二人の為に仕事ができる喜びを感じ、ファイナンシャル・プランナーとしての自分の存在意義が高まるのを実感していました。
さて、自動車の買い換えについて質問をした時のこと。
ご主人曰く、「え〜っと私の希望は、最低でも300万円の車を新車で購入して、買い換えは7年サイクルで。妻は軽自動車で充分なので予算は・・・150万円もあればいいよねぇ。」「うんそうね。子供が小さいうちは軽で充分だわ。でも7年ももつのぉ?」
ム?ム?ム?(心の中で思うだけ)。先程までの休日の素敵な朝の空気はどこへいったのか…。私は「またか!」と、どこか残念な気分になっていました。
私が活動している地方都市で、自動車は“一家に一台”は当たり前。
むしろ一人一台すら普通で、成人の四人家族なら“一家に四台”が珍しくない車社会です。
とはいえ、このご夫婦の希望通り自動車を買い替えていくとしたら、一体どれだけの費用がかかるのでしょうか?
仮にご夫婦が現在30歳だったとしましょう。
今年新車を購入し、以後70歳までの40年間、7年毎に買い換えながら自動車を所有した場合の総額を計算します。
【自動車の購入費用】
300万円 × 買換え5回 = 1,500万円 + 300万円(今年購入分)
150万円 × 買換え5回 = 750万円 + 150万円(今年購入分)
【車検費用】
10万円 × 12回 = 120万円
6万円 × 12回 = 72万円
【自動車税】
4万円 × 40年 = 160万円
8千円 × 40年 = 32万円
【任意保険料】
6万円 × 40年 = 240万円
4万円 × 40年 = 160万円
このように、ざっくりと計算をしてみても3,484万円もの大金です。
自動車を全てキャッシュで購入し、40年間一度も故障や事故による修理が無く、駐車場代もかからなかった場合でこの額です。
実際にはオイル交換、タイヤの買換え費用、自動車を走らせるためのガソリン代もかかります。
住宅に掛かる費用についてはあれほど用心深かったのに、なぜ自動車の取得費や維持費については心配しなくても大丈夫なのでしょうか?
答えは2週間後、ライフプランが完成し、ご夫婦と再会した時に明らかになります。
一生涯に掛かる自動車の費用を目の当たりにしたご夫婦(特にご主人様)は、一瞬“目が点”になり、その数十秒後にはこのざっくりした計算が、紛れも無い事実であることを理解します。
世の中には自称「車好き」「趣味は車」の男性は実に多くいらっしゃるものですが、
その意味するところが「数年毎に好きな新車に乗り換えること」であるとしたら、
これは相当に厄介な趣味というしかないでしょう。
「15年毎に家を新築すること」とか「5年毎に生命保険に入り直すこと」が趣味だと豪語するのと大差ありません。
かくいう私も、実はかなりの「車好き」。
「趣味は車」といってはばからない男性の一人です。
しかし、所有しているのは20年以上前のアメリカ車。7年前に(当然中古で)購入しましたが、
これからも直し直し乗り続けるつもりです。
もちろん自動車に資産価値がないことは百も承知。
損害保険会社はどんな自動車でも6年で減価償却と判断しますから。
しかし、だからこそ私は好きな自動車を乗り続けるのです。
“燃費が悪い、すぐ故障する、税金が高い”といわれるアメリカ車ですが、一生乗り続けても3,000万円掛かる訳ではありません。
「モデルチェンジしたから俺の車はもう型遅れだ」的な、自動車メーカー主導の価値観に巻き込まれてお金を浪費する心配もありません(それより何より私の職業柄、浪費するわけにもいきませんが)。
そもそも自動車がもつ本来の目的を考えてみると「時間を選ばず、他人に干渉されず、好きな荷物を積んで、ドアtoドアで移動できること」でしょう。
しかし、これらは何も300万円の新車でなくても達成できることばかり。
この目的が変わらない限り、100万円の中古車でも、20年前の自動車でもいいはずです。
「趣味もあるが、もはや車は生活必需品である」=「お金を掛けても良い」と考える人もいるでしょう。
しかし、残念ながら我々は高度経済成長の波に身をおいているわけではありません。
何にどの位お金を使うかの配分を慎重に考える必要については理解されやすいのですが、
これは住宅のみならず、自動車についても同様です。
日々の暮らしはもちろん、お子様の教育、老後の生活・・・優先すべき支出は他にいくらでもあります。
ライフプランを作成すればすぐにわかるのですが、3,000万円を超える支出は、
人が一生に掛ける「基本生活費」「住居費」に次いで大きな支出になるのが一般的です。
つまり、ご家族の「余暇生活費」や2人のお子様の「教育費」よりも多額なお金を自動車に掛けるということを意味します。
自動車の買い換えにそこまで「命を懸ける」人はそうは多くない筈ですので、
いま一度「自動車が本当に優先順位の高いライフイベントなのか」を考えてみましょう。
実用と趣味の両面を有する「自動車」は、個人によって大きく価値観の異なる代表例です。
故に相談に乗るファイナンシャル・プランナーにとっても頭の痛い話かもしれません。
特に、私のような車好きのファイナンシャル・プランナーならなおさらです・・・。
だからこそクライアントに問いかけたいものです。
「あなたの生活の中で自動車のどんな機能が必要ですか?」
「あなたの人生にとって自動車はどんな意味がありますか?」
「あなたは車の買い換えに命を懸ける覚悟がありますか?」
ファイナンシャル・プランニングが未来学であるなら、これまでの価値観にとらわれず、お客様と一緒に新しい価値観を作り出すことこそ、本来の姿なのかも知れません。
「実は車が趣味なのです。だから、今の車を一生乗り続けたい」
胸を張ってそう答えてくれるお客様とお目にかかる日を心待ちにしています。
第7回 『簡単にお金が貯まるコツとは?』
2008年02月21日|カテゴリー:お役立ちコラム
セミナーや個別相談をお受けする中で、私が答えに困るのは「簡単にお金が貯まるコツはありませんか?」というご質問です。
なぜ困るかというと、お金を貯めるためには「多少の面倒」を覚悟してもらわなければならず、それを「簡単」と感じてもらえるかどうかは人によって大きく異なるからです。
さて、その「多少の面倒」とはいったい何でしょうか?
意外に思われるかもしれませんが、答えは「今の財産総額を常に把握しておくこと」です。
さらに申し上げると「今日の財産がいったいいくらあるのかを即答できる状態にしておくこと」なのですが、皆さんはいかがでしょうか。
家計簿をつけていらっしゃる方の大半は即答できるかと存じますが、家計簿と無縁の方にあっては、即答できる方はほとんどいらっしゃらないでしょう。
今の財産総額を常に把握しておくと、なぜお金が貯まるのでしょうか。
理由は簡単で、そもそも人は自分のお金が目減りするのを極端に嫌がる生き物だからです。
常に財産総額を把握している場合、無意識のうちにお金の使途を限定するようになります。
同時に、毎月の財産総額が増えていく様子がわかるため、時間の経つのを楽しみにできるのです。
逆に、財産総額を把握していない場合、自分の懐がどれほど痛んだのかが全くわからず、使途を思い出せない程度の安易な買い物をしやすくなるのです。
事業運営が上手な会社ほど常々財産状況を把握しているものですが、それと全く同じことです。
「だったら、家計簿が面倒な私はどうすればいいの?」という方にも便利なツールがあります。
ここ1年程で急速に普及してきた「アカウントアグリゲーション」というサービスです。
「アカウントアグリゲーション」という言葉を知らないという方も何の心配もいりません(そんな言葉を知らないのが普通ですから)。
しかし、これまで避けて通れなかった「多少の面倒」を一気に打ち消してくれる画期的なツールなので、覚えておいて損はないでしょう。
ツールの特徴を一言で表現すると「財産総額を常に把握しておくためのインターネットサービス」です。
これを使うためにやることは簡単で、初回のみ自分の銀行口座の情報を登録しておくだけです。
次回からアカウントアグリゲーションにログインすれば、自分の所有している銀行口座の情報を自動的に取得し、一括して表示してくれます。
残高は銀行のホームページでも確かめられますが、日本人は平均4つの銀行口座を持っているといわれています。
つまり、財産総額を知りたくてもA銀行、B銀行、C銀行、D銀行の4つのホームページで確認しなければなりません。
それをアカウントアグリゲーションのサイトでは事前に登録しておいた銀行の残高が一括して確認できるようになるわけです。
誰もが気軽に使える代表的なアカウントアグリゲーションとして、
ポータルサイトgooの「goo通帳&明細」、
ぷららネットワークスの「ぷららアグリゲーション」、
Yahoo!の「MoneyLook」が有名です。
また、銀行や証券会社でも提供しているアカウントアグリゲーションの代表例では、
ジャパンネット銀行の「JNBアグリゲーション」、
日興ビーンズ証券の「マネーボード」、
マネックス証券の「マネーステーション」があります。
また、有料サービスも登場し、DIONは「マネーアカウントゲート」を月額315円でサービス開始しました。
これだけサービス名を挙げると、いかに短期間で普及したツールかがわかります。
ここまでコラムを読まれた皆さんは、既に自慢できるくらいアカウントアグリゲーションに詳しくなっているのですが、さらにご自身にあったアカウントアグリゲーションを選ぶポイントも紹介しましょう。
1.一覧できる金融機関の対応数
アカウントアグリゲーションは急速成長中のサービスですので、まだ全ての金融機関(コンテンツパートナー)を一覧できるサービスはありません。従って、皆さんが使っている銀行口座を一覧できるアカウントアグリゲーションを選ぶ必要があります。
2.費用の問題
当然ですが、登録料、利用料が安いに越したことはありません。まずは無料で提供されているサービスから試してみるといいでしょう。銀行や証券会社の提供しているサービスも無料ですが、口座開設しているユーザーに限るのが一般的です。
3.情報取得のスピード
情報取得のスピードは使い勝手に影響します。速いところでは、1コンテンツパートナーあたり1秒〜10秒程度、遅いところでは1分程度かかります。
4.家計簿ソフトとの連携
私は「うっかりママの家計簿」をプロデュースしている張本人ですが、かねてからアカウントアグリゲーションが束ねた口座情報と家計簿を連携したいと考えていました。それが実現すれば、家計簿記帳の手間を極小化し、面倒くさがりの方でも家計の財産状況を常に把握できるようになるからです。
1の判断方法ですが、実際に私が主に利用している金融機関を例に挙げて考えてみましょう。
●私が主に利用している金融機関(計9機関)
銀行:新生銀行、シティバンク、みずほ銀行
証券会社:日興コーディアル証券、日興ビーンズ証券、マネックス証券、大和証券
クレジットカード:UFJ Masterカード、NICOS VISAカード
これら全ての金融機関を網羅しているアカウントアグリゲーションはまだありませんが、
その対応状況(*1)を比べてみると、使い勝手は一目瞭然です。
■「goo通帳&明細」(登録、利用料無料)
■「ぷららアグリゲーション」(登録、利用料無料)
■ジャパンネット銀行「JNBアグリゲーション」(無料、口座開設者のみ)
みずほ銀行、日興コーディアル証券、日興ビーンズ証券、マネックス証券、大和証券、UFJカード(計6機関)
■Yahoo!「MoneyLook」(β版、登録、利用料無料)
日興ビーンズ証券、大和証券、マネックス証券(計3機関)
■日興ビーンズ証券「マネーボード」(無料、口座開設者のみ)
みずほ銀行、日興コーディアル証券、日興ビーンズ証券、(計3機関)
おわかりいただけるように、私にとっては「goo通帳&明細」「ぷららアグリゲーション」「JNBアグリゲーション」の対応金融機関が多く、資産全体を把握しやすいといえます。
これら三サービスは同じエンジンを利用しており、コンテンツパートナーの数も日本最大級。
実は私だけでなく、皆さんにも有利となっているケースが多いでしょう。
逆に対応金融機関数の少なさが気になるのが日興ビーンズ証券の「マネーボード」、マネックス証券の「マネーステーション」です。
3.の情報を取るスピードは、「goo通帳&明細」「ぷららアグリゲーション」「JNBアグリゲーション」、マネックス証券の「マネーステーション」が速く、ストレスがありません。
逆に遅さが気になるのが、日興ビーンズ証券の「マネーボード」です。
4.の家計簿との連携について触れると、「goo通帳&明細」「ぷららアグリゲーション」は「うっかりママの家計簿8」ともデータ連携し、銀行とクレジットカード、NTTの電話料金も取り込めるようになりました。
家計簿をつけている方はもちろん、家計簿をつけるのが億劫な方にも、アカウントアグリゲーションは非常に強力な武器になるでしょう。とりわけ、面倒くさがりの方ほど一度使うと手放せなくなるはずです。
第6回 『生命保険:いくらかければいいか?(3)高額療養費』
2008年02月21日|カテゴリー:お役立ちコラム
今回は医療保障の話です。
まず、医療費に対する公的な保障の代表例として、健康保険や国民健康保険があります。
入院に対する本人負担額は健康保険(*1)なら2割、国民健康保険なら3割です。
裏返して申し上げれば、健康保険なら8割引、国民健康保険なら7割引で医療サービスが受けられるのです。日常の買い物に当てはめてみると「破格のバーゲン価格」といえるでしょう。
ただし、バーゲン価格は医療費の全てに適応されるわけではありません。
いわゆる差額ベッド代(*2)や高度先進医療費のように、利用料金が全額本人負担になるものもあります。この差額ベッド代についても知っておきたいノウハウがたっぷりとありますので、機会を設けてご案内します。
さて、破格のバーゲン価格の対象となる一般の医療費に話を戻します。
健康保険や国民健康保険(以降は健康保険の8割引で話を進めます)でバーゲン価格となるとはいえ、元となる医療費が高額になれば支払額が膨らみます。
例えば今月の医療費が500万円になったらどうでしょうか。
500万円の8割引といっても100万円。自己負担するには実に大変な金額です。
「だから医療保険が必要だ」と結びつけるのが生命保険のセールストークですが、ここで知っておきたいのが「高額療養費制度」です。
「高額療養費制度」を簡単に説明すると、一ヶ月に自分が支払った自己負担額(*3が一定額(=自己負担限度額)を超えると、その超えた額を全額バックしてくれるという制度です。
自己負担限度額(月額)70歳未満
上位所得者 139,800円+(自己負担額−699,000円(*4))×1%
一般 72,300円+(自己負担額−361,500円(*5))×1%
低所得者(住民税非課税) 35,400円
自己負担額が100万円の場合は72,300円+(100万円−361,500円)×1%=78,685円つまり、自己負担限度額は約8万円と覚えておくといいでしょう。
さらっと流すとこれだけなのですが、よく考えてみるとびっくりするような制度です。
おさらいすると、そもそも自分で支払わなければならない500万円の医療費をまず健康保険の療養の給付で400万円割り引いてくれるわけです。
さらに、その100万円から(自己負担限度額約8万円を引いた)約92万円を健康保険の高額療養費制度でバックしてくれるのです。
今月500万円の買い物をしたら、492万円も値引いてくれるといえば、その凄さがわかるでしょう。
さて、重要な注意点がひとつあります。
それは自分で請求しなければ利用できないということ。
高額療養費制度は誰も教えてくれませんから、まさに「知らないと損」する話の典型といえます。
請求先は健康保険の場合は健康保険組合(*6)、国民健康保険の場合は社会保険事務所または地方社会保険事務局事務所です。
自分が申請してから高額療養費がバックされるまでには3ヶ月程のタイムラグがあります。
つまり、先の例では92万円は自分で一旦支払わなければなりません。
そのお金がないという場合も、消費者金融やキャッシングを利用しないようにしてください。
市区町村の「高額療養費貸付制度」という貸付制度を利用します。高額療養費でバックされる見込み金額の8〜10割の範囲内ならば無利息です。
申し込み先は、皆さんがお住まいの市区町村役場。日本の制度も捨てたものじゃありませんね。
さて、ここまで制度を知るとむやみやたらに医療保険に入る必要がないことがわかります。
もはやお金の心配は差額ベッド代(*7)と入院時の日用品購入代ぐらいに絞られることに気づいた方も多いのではないでしょうか。
(*1)2003年4月からは健康保険の本人負担額も3割に引き上げられる
(*2)健康保険で入れる病室よりも快適さを加味した病室
(*3)健康保険の支払い対象に限る。自分が支払った医療費から差額ベッド代を差し引いたものと考えるとよい。
(*4)2003年4月からは466,000円
(*5)2003年4月からは241,000円
(*6)政府管掌健康保険の場合は社会保険事務所または地方社会保険事務局事務所
(*7)全国平均で一日5,000円程度
第5回 『生命保険:いくらかければいいか?(2)』
2008年02月21日|カテゴリー:お役立ちコラム
前回のコラムで、一生に支払う生命保険料が800万円になる方が多いこと、
またそれが適正額かどうかは自分自身で計算すべきもの、というお話をしました。
今回は生命保険の必要保障額の算出方法を取り上げます。
「生命保険の必要保障額」とは、やさしい言葉でいうと「生命保険、私はいったいいくらかければいいの?」の「いくら」を指す言葉です。
その必要保障額は、次のように死亡保障と医療保障とを分けて算出します。
1. 死亡保障
人の死亡を起因として発生する経済的なリスクに対する備えをいいます。
具体的には、葬儀費用の準備、遺族生活資金(とりわけ、子供の教育資金)の準備、相続税納税資金の確保が挙げられます。
葬儀費用はおよそ366万円、教育資金は子供一人当たりおよそ1000万円です。
相続税は人の死亡から10ヶ月以内に申告し、キャッシュ(現金)で支払うべきものですが、支払うだけの資産がある方は約5%の世帯に限られますので、今回は「葬儀費用の準備」、「遺族生活資金の準備」と採り上げます。
2. 医療保障
生きていればこそかかってくる経済的なリスクに対する備えを「生存保障」いいます。
具体的には病気やケガによる入通院保障(医療保障)、長生きによる老後生活資金準備、結婚費用・住宅取得費用などが挙げられます。
老後生活資金準備と結婚費用・住宅取得費用などは貯蓄でまかなうべきものですので、今回は「病気やケガによる入通院保障(=医療保障)」を採り上げます。
さて、この死亡保障と医療保障ですが、これらをすべて自分で用意しなければならないかというと決してそんなことはありません。
なぜなら、国民年金、厚生年金、健康保険など、公的な社会保険(公的保障)で支払われるものがあるからです。
公的保障の代表例は死亡保障では遺族年金、医療保障では健康保険(自営業者は国民健康保険)です。
遺族年金、健康保険などの公的保障を差し引いた、「足りない部分だけ」生命保険でまかないます。
これらの話をまとめると次の通りです。
葬儀費用の準備
遺族生活資金の準備
公的保障
遺族年金
← 足りない部分だけ
生命保険をかける →
医療保障
病気やケガによる入通院保障
公的保障
健康保険
(国民健康保険)
足りない部分の金額を知るためには、遺族年金や健康保険からはいくらのお金が支給されるのかを知らなければならないということがわかります。
次回のコラムでは遺族年金を取り上げ、読者の皆さんが、我が家の遺族年金をきちんと計算できるようにご案内します。
最後に、皆さんにひとつ思い出して欲しいことがあります。
それは「生命保険に加入するときに、生命保険会社の営業員が公的保障の説明をしたかどうか」です。
その方が本当に皆さんのためを思って生命保険を設計する方であれば、必ず遺族年金や健康保険からでいくら支払われるかを説明してくれます。
逆にこれらの話をせず、「万一の際は教育費、住宅費などで合計5000万円は必要」「癌にかかると136万円かかる」というように、必要額のみの説明だったということであれば、今後、その方とお付き合いする必要はありません。生命保険会社の営業員を見極める重要なポイントになるでしょう。
第4回 『生命保険:いくらかければいいか?(1)』
2008年02月21日|カテゴリー:お役立ちコラム
皆さんは生命保険会社に一生でいくら支払うのか考えたことがあるでしょうか。
ぱっとはわからないかも知れませんが、私のコンサルティング経験から申し上げると、総額800 万円支払われる方が一般的です。
以前に、「生涯貯蓄額」についてお話しましたが、一生で貯められるお金はたったの5,000万円しかありません。
この中から結婚費用、住宅取得費、子供の教育費、葬儀代などを支払うことを考えると、生命保険ごときに(といっては失礼ですが)800万円もの大金を費やしている場合ではないことに気づかされます。
ここまで読んで、「大丈夫、自分は800万円も支払ってないから関係ない」と思われた方は、今すぐ通帳を開いて月払い保険料を確かめてみてください。
月払い保険料18,000 円を上回っていれば、まさにあなたが「800万円を支払っている人」です。
毎月18,000円×12ヶ月×(60歳-23歳)=7,992,000円
多い方となると、2000万円もの大金を生命保険に突っ込む方がいらっしゃるのですが、このような方は共通に「自分に万一の際には、残された妻や子供たちは絶対に守りたい」という家族思いの方ばかりです。
その愛情は尊いもので、私も尊重すべきものと考えていますが、残念ながら「自分に万一のことがあれば家計に心配は要らないが、自分に万一のことがなければ家計は悲惨な状況になる」と言わざるを得ません。
つまり、生きている場合の家計も大事、万一の場合の家計も大事。
生命保険の基本として、自分が生き続けた場合と万一の場合とのバランスを考えておくことが重要です。
生命保険にいくらかければいいのかは、万一の際にいくらのお金が必要になるのか
<必要保障額>を知らなければなりません。
必要保障額は生命保険会社の営業員が教えてくれるものではなく、自分で計算すべきものです。
自動車を購入するときに、自動車販売店で「自分はいくらの自動車を買うべきですか?」と聞くことはありませんが、それと同じことです。
次回は<生命保険の必要保障額>の具体的な計算方法に踏み込んでご案内します。
第3回 『保険で貯蓄はできるのか?』
2008年02月21日|カテゴリー:お役立ちコラム
「生命保険に入った理由は?」との問いに「貯蓄目的」と答える方は多いのではないでしょうか?
今回は生命保険を貯蓄目的として捕らえた場合のいくつかのリスクについて考えます
。
「貯蓄目的」として利用される保険として、個人年金、養老保険、学資保険、終身保険があげられます。これらの保険には次のリスクがあります。
(1)インフレリスク
(2)現金化できないリスク
(3)保険会社の破綻リスク
(1) のインフレリスクは、生命保険に加入されたすべての人が抱えるリスクです。
例えば、42歳の男性が将来の死亡に備えて葬儀費用(全国平均366万円、平成11年くらしの友「現代葬儀アンケート調査」)を賄うために終身保険400万円に加入したとします。
この男性が平均余命まで36年程生きたと場合、葬儀代はいったいいくらになるのでしょうか?
今後のインフレ率を約1.95%(年複利、過去30年間平均)と仮定すると、36年後に葬儀費用は2倍の約771万円になります。しかし、先の終身保険から受け取れる保険金400万円では、葬儀費用を賄えなくなっていることになります。
(2) の現金化できないリスクは、預貯金に比べ、保険が満期まで解約をしにくいというリスクです。
例えば、20歳の男性が、老後資金の確保を目的に個人年金に加入したとします。
長期間にわたる貯蓄なので、計画性がある様にも受け取れます。
しかし、老後資金の確保(=貯蓄)目的で保険を利用することは、結婚、住宅取得、教育費、医療費等に緊急出費の必要が生じても、預貯金に比べてすぐに現金化しにくいという性質は知っておきましょう。
解約した場合、中途解約による返戻率が適用されるのはもちろんのこと、それまでに支払った保険料より少なくなる場合(=元本割れ)もあります。
(3) の保険会社の破綻リスクは、保険会社が経営困難に陥った場合、保険金自体が減額されるというリスクです。
保険会社の救済機関として生命保険契約者保護機構があります。
これは銀行の預金保険機構に相当するものですが、これと比較すると設立期間が3年未満と浅く、財政的にも脆弱なシステムといわざるを得ません。
事実、先に相次いだ生命保険会社の破綻ではかなりの保険が減額され、中でも減額割合が高かったのが貯蓄目的の保険でした。
今朝も中堅の東京生命が破綻しましたが、貯蓄目的の保険から優先的に減額されることになるでしょう。その観点からは預貯金に比べて相当リスクが高いものと理解すべきです。ムーディーズやS&Pなどの第三者格付け機関等を利用し、自分の加入している保険会社の体力を認識しておく必要があります。
どの保険商品にも、必ずメリットとデメリットがあります。
「保険で貯蓄ができるのか?」以前から入っていらっしゃる方、またこれから加入されようとしている方、これらのリスクの観点から確認してみましょう。
第2回 『住宅ローンはいくら借りてもよいか』
2008年02月20日|カテゴリー:お役立ちコラム
住宅取得相談において、住宅ローン金利に次いで多いのが「いくらまでなら借 りてもいいか」
という質問です。
私は住宅取得を検討する方だけでなく、住宅ローンの返済が困難になった方
の相談も受けています。
住宅ローンの借入額を誤る と家計をローン地獄に陥れるのですが、
そこから救い出すために住宅の売却を薦めたことさえあります。
そんなコンサルティングの折、ふと「ライフプランは人の健康と似ているな」と感じることが
あります。
私の妻は病院の管理栄養士を勤めており、大量調理の他に糖尿病患者のための特別食
(治療食)を担当しています。
糖尿病は(遺伝的な発病を除けば)正しい 食生活で未然に防げる
のに、一度かかると治癒が困難とのこと。
言い換えると、「時間を巻き戻せれば治せる病気」と
聞き、「これは住宅ローンにも全くあては まるな」と感じました。
住宅を売却せざるを得なくなった方の場合、「時間を10年前に巻き戻してくれたら、こんなに
苦しまないようにアドバイスできたのに」と悩むのと全く同じです。しかしそれも後の祭り。
なぜなら、私がどれだけがんばっても時間を巻き戻すことができないからです。
住宅の売却を薦めた直後、面白いタイミングというのか、10歳若い夫婦が「この家を買おうと思うのですが」とそっくりな住宅取得計画を持ってきました。
その夫婦に「先程、あなたと全く同じような住宅ローンを組んで、家計が破綻したお客様から相談を受けました。」というと、「え?じゃあ、この住宅ローン計 画は駄目ですよね。わかりました。
もっと身の丈にあった物件にします。」とあっさりと見直してくれました。
自分でも時間を巻き戻せる
魔法使いになったような不思議な気分になりましたが、この夫婦は非常にラッキーといえます。
早速ですが、私が持っている住宅ローンの借入額に対するひとつの目安を紹介しましょう。
「大企業」にお勤めの会社員に対する住宅ローンの総額に関するアドバイスとして捕らえて
ください。
まず、住宅ローンの借り入れ総額の目安です *1。
借り入れ総額は2100万円までに抑えるべきである。
それを超えて借り入れ総額が2500万円までならイエローカード。できればやめてください、というレベル。
さらに借り入れ総額が2600万円を超えた場合は、レッドカード。私は羽交い絞めにしてでもやめさせるレベルである。
同時に満たさなければならないのが、住宅ローンの年間返済額です。
年間120〜130万円までに抑えるべきである。
それを超えて、年間160万円あたりになるとイエローカード。
さらに年間180万円を超える場合は、レッドカードである。尋常ではないレベルで、当然羽交い絞めにしてでもやめさせる例である。
この目安は私自身のコンサルティング経験からつかんだものであって、どこの本にも書かれていません。
しかし、この目安はかなり精度が高いものと自負しています。重要なことを申し添えると、
仮に年収が1000万円を超えていてもこの目安は変わらない
ということ。
その理由は失業率の高さです。
仮に体調不良やリストラなどで再就職を余儀なくされた場合、年収1000万円の維持が困難なことは想像に難くあ りません。
つまり、住宅ローンの借り入れ総額は、今の自分の年収だけではなく、世の中の年収相場も考慮することが大切です。
この目安から逆算し、頭金に借り入れ総額を足せば「購入できる住宅の総額 *2」がわかります。
もっと端的に言うと、「頭金+借り入れ総額2,100万円」。例えば、頭金が1,500万円の場合は、頭金1,500万円+借り入れ総額 2,100万円=3600万円が住宅の総額です。
住宅取得の諸費用を300万円〜500万円とすると、3,100万円〜3,300万円の物件にすればよいことになります。
ちなみに、住宅取得額の全国平均は3,700万円。かなりの世帯が家計をリスクにさらしていることになります。
最後になりますが、住宅金融公庫の融資枠を目一杯借りることは危険です。
2,100万円を借りることなど朝飯前。住宅金融公庫の融資枠は年々広がり、借り入れ年数も長くなりました。そしてもはや、「ザル」とも言える程のゆるいゆるい基準になってしまったのです。
*1 ローン借り入れ時の年齢を問わない
*2 住宅取得の諸費用を含む
第1回 『生涯賃金はいくら?』
2008年02月20日|カテゴリー:お役立ちコラム
生涯賃金という言葉があります。
平たく言えば一生に稼げるお金の事で、高卒男子の生涯賃金は2億2000万円、大卒男子の生涯賃金は2億8000万円といわれています。
数年前になりますが、「高卒男子の生涯賃金が2億円をこえた」というニュースを耳にされた方も多いことでしょう。
生涯賃金が2億円を超えましたが、では一生に貯められるお金(=生涯貯蓄額)は一体いくらになるのでしょうか?
生涯貯蓄額は小学校3年生レベルで簡単に計算できます。
ハイペースに貯める例で考えてみましょう。毎月の給与から10万円、夏冬の賞与から10万円ずつ60歳まで貯められる人がいます。
この場合、年間に貯められる額は
毎月10万円×12ヶ月+10万円×2回(夏冬賞与)=140万円
これに勤続年数を掛ければ生涯貯蓄額が簡単に求まります。仮に皆さんの
入社が23歳だったとすると、定年(60歳)までにいくら貯められるでしょうか?
140万円×(60歳−23歳)=5,180万円
これが一生に貯められるお金(=生涯貯蓄額)です。
しかも、定年まで一度もかかさず貯めることが前提です。
いかがでしょう。想像した額より少ないのではないでしょうか。
同様の計算で、この先にいくら貯められるかも求まります。今30歳の方ならば4,200万円、35歳3,500万円、40歳2,800万円・・・。年齢が高くなるにつれてその額はどんどん少なくなっていきます。
一方、一生の間に出て行くお金(=生涯支出)はもっと簡単です。一般的なモデルケースでライフイベントを見積もってみましょう。
結 婚 400万円(男性400万円、女性300万円)
住 宅 3,500万円
教育費 2,000万円(子供一人1,000万円×2名)
自動車 600万円(10年ごとに買い替えて、200万円×3台)
合 計 6,500万円
合計6,500万円で、先程計算した生涯貯蓄額では1,320万円も足りません。
ここでは運用利回りも住宅ローン金利も考慮していませんが、一般的に後者の方が金利が高く、さらに生活費も除外した計算なので収支はさらに悪化します。
この試算から学べることがいくつかあります。
・年間140万円のペースでは全然足りない
・結婚にかかるお金が生涯貯蓄額の1割弱を占める
・住宅にかける額を間違えると、家計を危険にさらしてしまう
・全てのライフイベントを実現するのは難しいが、優先順位をつければ何とかなりそう
・早く気付いたもの勝ち。
個々のライフイベントに注目するのではなく、全てのライフイベントを見ながら家計を考える。これがライフプランの肝です。
木を見て森を見落とすことのないよう、我が家のライフプランを立ててみましょう。










